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VAIO Z がとりあえず使えるようになった話

20150321.png
昨日もうんうんどうしたものか唸ってたVAIO Zですが、ようやくひとまず使えるレベルになりました。ので、備忘録含めメモしてみたり。

■そもそもの原因
うちの環境ではInstantGoに対応してたことがあらかたの不満の一番大きな点でした。InstantoGoに対応したマシンには以下のような特徴があります。
1)省電力設定では「バランス」しか選べなくなり、CPUの最大最小稼働率が指定できなくなる。
2)画面オフだけさせるような設定はなく、画面オフとスリープがイコールになる。
3)(今のところ)有線LANは非サポート(多分対応してるNICがない)。
4)スリープ中にメールの受信やSkypeの着信、アプリの自動更新などが行える。

これがために、ウチの環境ではほとんどの場合にクロックが0.7GHzや1.4GHzにまで抑制されてしまい、Illustratorではそのクロックがなぜか作業中でも上がってくれないのでまともに作業ができない始末でした。ただ、クリップスタジオペイントなどでも一見普通に作業できると思っていましたが、線の描き始めや途中でペンが迷って一旦停止した時はクロックががくんと下がり、そこからの描き出しになるのでとりこぼしが発生したりと快適ではありませんでした。

一応VAIOの設定ツールでパフォーマンスについては設定できますが、作業をしながらクロック推移を見ていた限りだと、最大クロックの上限を調整しているだけのもので、どちらもできる限りクロックを抑制しようとする傾向は変わりません。

■対応策
上の特徴を見ても、クラムシェルタイプの(ワイヤレスWANへの対応もない)ノートPCにおいてはデメリットしかないと判断したので、下記レジストリの値を書き換えてInstantGoをオフにしました。
[コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power]
→ CsEnabled の値を 1 から 0 に変更

本当であればこの手のカスタマイズはバックアップを取ってからやりたかったので躊躇してたんですが、数日後にこれを持ち出して長期間仕事をする必要に迫られていたので、時間的な余裕もなくいざとなったら後日真っさらに戻せばいいやと決行した次第です。

■その結果
・省電力設定の欄で「高パフォーマンス」が選択できるようになった。
・CPUの最大最小稼働率が指定できないのはそのまま。
・スリープが使えなくなった。休止状態で代用。
・休止状態だと、画面を開いても電源ONにはならず、毎回電源ボタンを押す必要ができた。
・無線LANの出力設定ができるようになった。

「高パフォーマンス」が選択できるようになったことで、特にクリップスタジオペイントにおいては高クロック帯で作業が行えるようになり、デスクトップ環境と遜色ない(タッチ操作が行える点ではそれ以上の)使い心地が得られるようになりました。

休止状態への移行復帰はすごく高速なのでそれ自体にあまりストレスはありません。ただ、このマシンは電源ボタンが小さく固めに作られている(多分スリープ運用が前提なので、誤作動を避けるための措置だと思う)ので、それを毎回操作しないといけないのが面倒です。また、VAIO Zには電源ランプがないので、ボタンを押してもONになったかどうか瞬時に判断できる術がありません。したがって先の固さとあわせて、押せたかどうか判断に迷いがちです。そういう意味でも想定されてない運用なんだろうなという印象を受けます。

無線LANの出力強度を調整できるようになったことで、802.11acの速度改善がなされるかと思いましたが、こちらは変わらずでした。自宅でも仕事場でもNEC社製ルータを使っているので、それとの相性なのだろうなと思います。わざわざルータを買い換えるつもりはないので、少なくとも自分にとってこのマシンの802.11ac対応は今のところ意味がありません。

■各アプリケーションの使い心地
※自分が実際に仕事として使ってみたものに限って記述しています。
※下記はレジストリをいじった結果であるため、この個体独自の現象である可能性があります。

[クリップスタジオペイント] (対応度:○)
タッチ操作において、ピンチインアウトの拡大縮小と回転は遅さを感じますが、パン操作は快適。CPUクロックがほぼ高クロック域に定着して作業できるので、デスクトップ環境並みの快適さで作業できました。
筆圧調整はまだバシッと決まるまでは詰めれていません。いきなり細くなったり太くなったりの差が激しい時があるので、ここは調整中。
NTrig独特の吸着ブレは思いっきり出ます。それについては、「ゆっくり描画する際にはSHIFT切り替えに割り当てた補正大きめのペンで対処するようにすればよい」とアドバイスを受け、それで対応する予定です。

[Adobe Illustrator CC2014] (対応度:△)
描けないことはない速度になりましたが、それでも重く、ペンの追随も鈍いです。総じて快適とは言えません。出先で修正するぐらいなら十分使えるとは思います。
クロックが上がらないのはカスタマイズ前と同様で、それでも高パフォーマンス設定にしたことで常時2.4~2.8GHzあたりは使えるようになりました。その分かなりマシにはなっていて、快適ではないながらもなんとか作業はできそうです。本来の性能ならもうちょっといけるはずなので、もったいない感が強いとともに、本来このあたりのクロックであればもっと軽快なはずという違和感も覚えています。
CC2014で追加された「連結ツール」が時折エラーメッセージを吐いてバグります。
NTrigの吸着ブレはこれでも出ます。スムーズツールで後補正が簡単なので、そこはまあいいんですが、Illustratorの場合はホバーカーソルのあてにならなさが痛いです。ソフトの特性上バウンディングボックスで様々な操作をするんですが、ホバーカーソルがあてにならないため、今どのモードになる位置にペンがあるかもあてにならず、狙い通りの操作がなかなかできません。

[Adobe Acrobat XI] (対応度:×)
ペンで操作を行おうとすると、CPUの負荷が跳ね上がって、アプリケーションが一切の操作をしばらく受け付けなくなります。ペンでの注釈書き込みは一切できません。

[Adobe Bridge] (対応度:×)
上のAcrobat同様、ペンで操作を行おうとすると、CPUの負荷が跳ね上がって、アプリケーションが一切の操作をしばらく受け付けなくなります。スクロールバーを動かそうとしたり、サムネイルを選択したり、ファイルを開こうとダブルクリックしたり、すべてペンによる操作はNGです。

■総括
クリップスタジオペイント専用機としてなら、InstantGoオフの後はすごく快適です。
Adobe社のソフトは、以前スマートスクロールのプラグインを作って遊んでた時に、ウインドウクラス構成がすごく独特で、通常のメッセージ処理だとオブジェクト操作がままならなかった記憶があるので、現行バージョンにおいてもそのあたりで何か相性問題が出ているのかもしれません。
自分にとって主役はVAIO Zではなくそこで動かすソフト達なので、仮にAdobe製ソフト側の問題だったとしても、現状ではVAIO Zに対してあまりよい印象は持てていません。

先のInstantGo対応とあわせて、本マシンに関しては「タブレット然としたライトな操作・オフィス用途」を想定しているのか「いかようにも活用できるハイパワーノートPC」を想定しているのか、その性能・価格帯とあわせてチグハグ感を覚えてしまうというのが正直なところです。
できれば今後、ドライバの改修などでこの印象がガラリと変わるとうれしいですが、少なくとも絵描き用途には最重要ポイントである(と思っている)「CPUの最小稼働率設定」をInstantGo対応のために切り捨てているので、期待したいけど多分想定ターゲット層じゃないんだろうなあとやや悲観的です。
(でも携帯性はこのレベルで描けるマシンとしては素晴らしいのひと言なので、ほんとなんとか改善されて欲しいです。カバンへの収まり具合とか、その剛性感とあわせて超いいっすよ!)

あ、ただ、自分のとこにきた個体だけ、妙に低クロック状態を強制されてるマシンである可能性も残っているので(InstantGo対応のタブレットだとたまにあってBIOS改修が入ったりする)、とりあえず後日店頭のマシンをさわって、動作クロックの遷移を確認したいと思っています。
(ウチのマシンはそういう不良個体の可能性もあるので、話半分で読んどいてくださいね。)

■おまけ
MicrosoftのKB3033889問題はバッチリVAIO Zでも発生するので、タスクバーとかアプリケーションタイトルバーあたりさわってるとたまに10秒くらい固まるんだよねーって人は、ぐぐって対応策調べるのがオススメ。

VAIO Z CanvasについてはLANポートを内蔵しているので、多分InstantGoへの対応は見送ってるはず。なのでここで書いたみたいな懸念はあたらないと思います。

あとなんかあったかなー。
あ、内蔵のメモリカードリーダーは、読み込み上限速度20MBくらいっすよーってくらいかな。ベンチとった。
とりあえずそんなとこです。またなんか思い出したら追記します。

■最後に
自分の環境ではこうだって事例のひとつとして書いてるだけなので、自分としてはこれを読んだ人が、「うちでは正常に動く」「うちでも同様の現象が出ている」と確認する一助として以外の意図はないです(通常の日記と同様に勢いでダーっと書いてたので、言葉が過ぎる部分もあるかとは思いますが)。その結果、自分のとこにもそういう声がとどいて、不良か素性かの判断ができればいいなーと思ってます。
そうして、自分でいじれるだけいじって、それでも「これはもう不良かなー」と行き着いた時には、サポートに持ち込むつもりです。

なので、これをもって「VAIO Zはすべて駄目」とか、ましてや「VAIO Phoneのことといい、VAIO社はすべて駄目」という話に持って行くのは勘弁してください。

VAIO Z 購入者さんは、自分の個体との比較検証に。
VAIO Z 購入検討者さんは、店頭でチェックする項目洗い出しの一助に。
VAIO Z 買う予定のない方はあくまでも話半分で。

本日記をお読みいただけると幸いです。

■追記
Twitterで、「ペン長押しで右クリックの設定を切ってると、一部筆圧対応ソフトで操作時にフリーズすることがある」との情報をいただきました。
さっそく試してみたところ、その設定をONにすると、Adobe Acrobatでのペン注釈、およびAdobe Bridgeの各種操作が、問題なくペンで行えることが確認できました。
でもこの設定ONにしてると絵作業時に問題が出る...。悩ましいです。

コメント (8)

VAIOZ 人柱 応援してます!:

SurfacePro3の情報が使い道ないでしょうか?
VAIO Zか Canvas を狙っているので人柱よろ
しくおねがいします!w

Surface Pro 3 購入から設定までのQ&A
http://gadget.e-sakenomi.com/pc/201407279

surfacePro3のInstantGoを手軽にOn/Offしたい...そんなあなた!
http://gadget.e-sakenomi.com/pc/software/2014080234

Surface Pro 3 まわりは色々と参考になる情報多いですよね。
応援ありがとうございます(笑)

Anonymous:

2)画面オフだけさせるような設定はなく、画面オフとスリープがイコールになる。
これについてはタスクバーの電池から電源オプションをいじることで変更可能なはずです。(事実、うちのVAIO Zでは画面閉じたりしてもスリープに移行しません)
ノートパソコン全般同じ挙動をするものですのでinstantgoとは関係ないのでは?

少なくともうちの環境では、下記の記事と同様に、電源オプションで設定できる項目はスリープまでの待機時間のみでした。通常のPCにあるような「画面オフ」と「スリープまでの待機時間」のようには分かれておらず、画面オフ=スリープという動作になっていました。

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/win81wb/20131211_626343.html

これは、InstantGoで記事をあさると同様の記載が多数見つかると思います。

うちではもうInstantGo切っちゃってるので、再検証はいたしませんが、Anonymousさんのところでは出来ているという話は非常に興味深いので、ぜひ情報として詳細をどこかにあげておいてもらえればうれしいです。

Anonymous:

残念ながらブログやTwitterなどの発信できる媒体を利用しておりません。
きたみさんが貼ってくださったリンクを基にやり方を簡単に説明しますと、
「詳細設定では、ディスプレイの電源を切ると連動していることがわかる」
の画像の所に、管理者マークと共に「現在利用できない設定の変更」と書かれてますよね?
ここをクリックする事でディスプレイの電源を切る時間を個別設定できるようになります。

詳細ありがとうございます。

うーん、うちだと「現在利用できない設定の変更」を押しても特に設定増えなかった記憶なんですよね。「あれー?」と思った覚えがあるので。
ディスプレイの電源を切る時間を変えても、けっきょくそこで設定した時間に連動してスリープされてた気がするんですが、ここは今となっては記憶が怪しいです(^-^;

今度InstantGoを復帰させるようなことがあれば試してみます。
ご指摘ありがとうございました-。

Anonymous:

すみません、ディスプレイ消灯の件ですが、私が間違っていたようです。
ディスプレイ時間をいじってもスリープ時間の方に反映されるらしく、個別の設定になっていませんでした。
設定を開き直すと時間が同期していました。
また、スリープでないテストのために大容量ファイルをchrome上でダウンロードしながらディスプレイ消灯してもダウンロードが途切れない事を以ってスリープになっていないと判断していたのですが、これが間違っていました。
Instantgoにおいて、スリープ中でもダウンロードのセッションが維持されることを知りませんでした。
間違った指摘をしてしまい申し訳ありません。

そうですかー、ご報告ありがとうございます。
うちの方だと、WindowsUpdateかDropBoxの同期においてダウンロード中に画面消灯→スリープってなって「ありゃ」と思った覚えがあるので、そのあたりの挙動も対応非対応と一様ではなさそうですね。

おかげで当方にとっても勉強になりました。重ね重ね感謝です。
ありがとうございます。

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2015年3月21日 12:21に投稿されたエントリーのページです。

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