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書籍 『I AM JACKIE CHAN』 を読んだ感想

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ジャッキーチェンやユンピョウ、サモハンキンポーなど、あのへんの人たちが皆『京劇』というアクロバティックな劇団用育成学校の出身で、サモハンはその中でも兄貴分にあたる。とはなんとなく知っていたのですけど、あらためて昔のことを知りたくなったので読んでみました。

京劇育成学校というのは、スパルタ式のエリート養成学校だろうなとか思ってたらぜんぜんちがう。ほぼ孤児院なんですね。口減らしの捨て子受け入れ所みたいなもので、入所時の契約内容に「折檻で死んでも文句言うな」ってのがあったりと、今では有り得ないことだらけ。「だからこそ、僕たちはこれだけの技を身につけることができた(意訳」と述懐するジャッキーの言葉も、さもありなんと納得してしまいます。

やがて学院を出て食うためにスタントの道に入り。
香港映画界に携わる身としては逆に後発にあたるブルースリーが瞬く間に一時代を築き。
その中でジャッキーにはどのような葛藤があり、食い詰め、落ちぶれ、数度目のリトライによってようやく日の目を見るに至る過程は、「あれほどの技とキャラクター性を持ったジャッキーでもここまでの苦労があったのか」と驚きでした。

当時、ジャッキーが絶頂期を迎えたあの時代。香港はアジア圏における文化の中心地だった気がします。

その中で、ブルースリーは言うまでもなく既に歴史上の偉人であり、ジャッキーもその域に入ると思う自分には、この本は当時のアジア文化を知る一助...というかもう歴史書ですよね。

これを読んだおかげで周りを固める出演者たちもその出自を知るに至り、もう1度ジャッキーの出演作を色々観かえしたくなりました。
ジャッキーといえば自分が見たいのはベニー・ユキーデとの熱き闘いに代表される格闘アクションであって、危険なスタントとかは別に興味ないんだけどなーと思ったいたんですけど、ジャッキーの身を立てていたのはむしろスタント。危険なスタントにこそ、彼が自分を信じるに足るアイデンティティが込められていると知り、その方面でも映画を観る目が少し変わりそうです。

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2015年6月26日 11:30に投稿されたエントリーのページです。

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